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2005年12月18日 (日曜日)

横浜トリエンナーレ2005

12月18日、日曜日。

本日は、横浜トリエンナーレ2005の最終日に行ってきました。

今回は、横浜トリエンナーレを観ての簡単なレポートと感想をお送りします。

結論から言います。

今回の、横浜トリエンナーレ2005で、最も注目を集めた作品は、高嶺格の「鹿児島エスペラント」でしょう。

この作品を取上げているブログがいくつかあるのですが、僕が面白いなと思ったのは、 「イルコモンズのふた。」「▼高嶺格「鹿児島エスペラント」伝」というエントリー。お勧めっス。「鹿児島エスペラント」を観て興味を持った方は、一読されることをお勧めいたします。

僕は、ある作品に興味をもったり、好きになると、その作品について語った文章や批評を読みたくなるのですが、「▼高嶺格「鹿児島エスペラント」伝」は、その欲望を満たしてくれるものでした。

特に気に入った、箇所を引用します。

興味深いのは、この作品でも「暗闇」いうのがライトモチーフとしてあって、ゴダールの『時間の暗闇の中で』や村上春樹の『アフターダーク』、飴屋法水の『バ  ング  ント』展などと同じく、それが人をひきつけてやまないのは、いまのこの時代が暗黒時代であるということが集合的な無意識として共有されていて、それらの作品がその暗闇に一種の光明を与える無償の贈与(ギフト)のようなものであるからではないかとそう思いました。ということで、この「鹿児島エスペラント」はいずれ今のこの時代を語るときに必ず言及されるであろう重要な作品であることはまちがいないので、もう一度いいますが、つべこべ云わずに見に行っておいた方がよいと思います。

で、「鹿児島エスペラント」を観ての僕の感想はというと、

一言で言うと、

まったり

です。

ララバイのような歌をききながら、暗闇の中で、浮かんでは消えていく柔らかな光の形象を目で追っていると、癒されるというか、落ち着くというか、非常にまった~りするんです。

何故なんでしょう?

本能?

それとも僕だけ?

うむ。わからんちんです。


高嶺氏と並んで、僕が興味をもったには、「震災から10年」というタイトルをつけられた、米田知子の写真達。1995年の阪神大震災の直後の写真と、10年後の今年、2005年に撮影した写真が展示され、また米田氏が撮影をするために、今年、神戸を訪れている様子をおさめた映像が上映され、その前には、ボランティアグループとまとの資料が置かれていました。

なぜ、米田氏の作品に興味を持ったかたと言いますと、僕が卒業論文で取上げたドキュメンタリー映画「ショアー」に非常に似ていると感じたからです。彼女の写真の中に、「ショアー」において語られるような、「痕跡の不在」、「記憶の場所」といったテーマの存在を感じました。震災直後の状況の中に、「散乱したサンダル」や「薬箱から投げ出されている錠剤」など、日常生活の中に何気なく存在するモノを被写体にすることにより、震災の「悲劇性」、「突然性」が強調されていると思います。また、震災直後には、遺体の仮安置場所として利用されていた場所の今日の姿の写真が展示さています。もちろん、写真には死体は写っていないですが、「元遺体仮安置場所」というキャプションが付されていて、この場所の記憶や重みを、見るものにつきつけているように思われます。今あげた、二つの手法は、「ショアー」においても用いられている手法です。

TAGBOATのサイト米田氏のインタヴューが掲載されていたので、それを読んでみると、僕の印象は間違っていないようです。

「震災から10年」について言及している箇所を引用します。

- 横浜トリエンナーレ2005に出品されている《震災から10年》は明石ご出身の米田さんにとってはぐっと身近な場所なのでは?
はい、震災直後は個人的な記録として被災地の写真を撮っていたんですが、今回はその10年後の姿を追いました。表面的には過去の記憶は全く消えているように見える…真新しい家々が建っているし、道路もとても奇麗に舗装されている。でも私には見えたんです、「ここで絶対に何かが起こったんだ」という見えない傷跡みたいなものが。芦屋市立美術博物館の近くなんですが、勤務している方も日常的に見ている景色で、いつの間にか街が元通りになっていったようです。今回の撮影で各地を一緒にまわったら「米田さんと一緒だと見える」って言うんですよ。10年前はモノクロでしたが、今回は被災地の今の姿をカラーでとらえました。また、低い位置から撮ると主観が入り、感傷的な写真になってしまうから、なるべく目線の高さで風景を撮るようにしました。

長くなってしまうので、詳細は説明できないのですが、「でも私には見えたんです、『ここで絶対に何かが起こったんだ』という見えない傷跡みたいなものが」という箇所に、「ショアー」との共通性を強く感じました。

何もない、「不在」の場所に、記憶の「痕跡」を見出す。

すぐれて、現代的な問題だと思われます。

「ショアー」は、DVDでも販売されていますが、結構高額です。興味をもたれて方がいらっしゃったら、テキスト版の『ショアー』、もしくは、『『ショアー』の衝撃』を読まれることをお勧めいたします。前者は、映画のスクリプトをほぼ完璧に収めたもので、後者は、日本でいちはやく「ショアー」を紹介された方々が、主に現代思想や、現代哲学の観点から、この映画の説明をなさっています。(そういえば、このブログで、いつか卒論をアップすると言ってましたね。今日、明日中にPDFでアップします。)

と、小難しい話しになってしまいましたが、横浜トリエンナーレ2005は、前回と比べて、とても面白いものになったのではないかと思います。

では、最後に、お知らせを。

実は、先の月曜日の12日に、一度横浜トリエンナーレ観に行ったのですが、理由があって、本日再度見に行ったんです。

その理由というのは、

とあるシンポジウムで、僕がパネリストとして参加する予定だからです。

とある人物の代理で出る予定で、あくまで予定。

「やっぱ出番なしよ」といったことになる可能性も十分あるとは思うんですが、が、他のメンバーがそうそうたる顔ぶれなので、ちゃんと勉強していかなきゃなと思い、再度、会場に足を運んだわけです。

シンポジウムの詳細は、こちらです。

興味がある方は、是非、お越し下さい。

では、最後の最後に、横浜トリエンナーレを観ながらつけたメモを紹介します。

・奈良美智の展示面白い。原美術館のより面白かった。
・インタラクティヴな現代アートの行き着く先は、ディズニーランドでは?
・会場が寒すぎる。
・フードがちょっとしょぼい。
・参加型のアートは一人で見にいっちゃだめ!

おまけで、横浜トリエンナーレと取上げているサイト・ブログも。

横浜トリエンナーレ2005 アートツアー・レポート
http://www.tagboat.com/documents/events/hamatori/2005/10/2005.html

横浜トリエンナーレ2005再訪(其の二)
http://blog.goo.ne.jp/eh2961-707/e/b1fa08957df6447cb8998c2723589f1a

横浜トリエンナーレその8 いよいよオーラス
http://takoyama.way-nifty.com/weblog/

きっとブランドショップではなく、セレクトショップなんだな
http://jet.rocket3.net/review/462yokotori/462yokotori.htm

■日記□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

・12月18日(日曜日)

バイト明けで、横浜トリエンナーレへ。

その後、人に会いに、吉祥寺へ。

初吉祥寺でした。

気分は大尊。
いや、むしろ子兵二。
僕の千秋ちゃん見つけたい…。

今夜は研究室に泊まりで、溜っているデスクワークを片付ける予定です。

■pick up news□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

診療報酬3・16%引き下げ 過去最大の下げ幅で決着
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200512180107.html

いいーんすか?これでいーんすか日本?

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コメント

トラックバック有難うございました☆
私にとってトリエンナーレはとても面白い展覧会でした。
来客者の表情がとても楽しそうだったのが印象的。

作品について理解できていたかはさておき、それぞれの作品が身近に感じられたことで、心の中に何かが溜まった気がします。
具体的な言葉に出来なくてすみません;


投稿: モトナガ | 2005年12月19日 (月曜日) 00:29

>モトナガさん

コメントありがとうございます!

来場者の皆さん、楽しそうに参加してましたよね~。

そういう僕も、月曜日は、友人と行ったのですが、二人してはしゃいでました。ブランコにも乗れて楽しかった~。

投稿: しばた | 2005年12月19日 (月曜日) 00:32

トラバありがとうございました。
脇の送迎バスに乗らずに埠頭までの旗ロードを歩けて幸せでした(笑)。

全て理解できた訳ではもちろんありませんが良いイベントでした。
行ってよかったなと思えています。

中華街のホテルが見れなくて残念でした!

投稿: 薙 | 2005年12月19日 (月曜日) 02:03

>薙さん

コメント、ありがとうございます!

僕も昨日、歩きながら行く予定だったのですが、あまりの風の強さにビビッてしまい、結局バスに乗ってしまいました。

残念…。

投稿: しばた | 2005年12月19日 (月曜日) 08:42

トラバありがとうございます。
地元で開催しているって事で行ってみたんですが、
なかなか楽しめたイベントでしたね。

戸惑っている人とかも結構いて、人間観察するのも
なかなか面白かったです(笑)

投稿: 雅 | 2005年12月19日 (月曜日) 17:12

TBありがとうございます。
印象に残る作品はたくさんあるのですが
やはり「鹿児島エスペラント」のインパクトはすごかったです。
私は“わけわかんないよ!”的な笑いが止まりませんでした。
まったく言葉で表現できないのがもどかしくありますけど
それだけ五感に身体に心にダイレクトに響くということでしょうか。
実にいいイベントでしたね。

投稿: さる・るるる | 2005年12月19日 (月曜日) 21:50

トラックバックありがとうございました。
私のような素人の年寄のつまらないレポートを読んでいただいて、恐縮です。
横トリはもう1回行くつもりでしたが、あれよあれよと言う間にフィナーレになってしまいました。
3年後、ほんとうに開催されるのか、疑心暗鬼? でも楽しみです。
米田さんの展示に関する論考、なるほどと思いました。
しかし、今回の横トリの全体のなかで、米田さんのグループの展示の位置はどうだったのだろうか?と戸惑います。
川俣さんの書かれたものなどよく読んでいるわけではないので、偉そうなこと言えませんが。
柴田さんのブログ、これからゆっくりと拝読し、勉強させていただきます。

投稿: まめどまめ | 2005年12月19日 (月曜日) 22:10

トラックバック、ありがとうございます。
トリエンナーレ、柴田さんの記事はしっかり中身のある記事で、勉強になります。

高嶺さんの鹿児島エスペラント、どこがどういいのかは、言葉に言い表しにくいけれど、とても印象的でした。観ていて、とてもいい気分になれました。

投稿: ちょこら | 2005年12月19日 (月曜日) 22:26

皆さん、コメントありがとうございます!
今後とも、よろしくです!!!

>雅さん
僕も、戸惑っている子どもを見て楽しんでました。僕自身もキョドってたりしたので、観察されていたかも。

> さる・るるるさん
いやー、「鹿児島エスペラント」、ほんとわけわかんないですよね~。写真に写っている女の人は誰なんでしょーかねー。

> まめどまめさん
3年後、どうなってるんでしょーかねー。うむむ。米田さんの展示の位置は納得できませんよねー。あれこそ、メインに持ってくるべきだと思います。

>ちょこらさん
お褒めいただき、ありがとうございます!!
「鹿児島エスペラント」観てると、いい気分になりすますよねー。また、観たいな~。

投稿: しばた | 2005年12月20日 (火曜日) 15:05

TBありがとうございました。「鹿児島エスペラント」についてはもう少し知りたかったので、嬉しかったです。言葉で言い表せない感情を呼び起こすって凄いことだと思います。

投稿: kokoro-makase | 2005年12月21日 (水曜日) 12:20

>kokoro-makaseさん

こめんとありがとうございます。
「鹿児島エスペラント」ホントいいですよねー。
でも、言葉に言い表せないんですよねー。
むつかしいぃ。

投稿: しばた | 2005年12月21日 (水曜日) 22:16

トラックバック、ありがとうございました。

柴田さんの横トリのメモで、
私が抱いているのと同様の見解があったのには関心しました。↓

・インタラクティヴな現代アートの行き着く先は、ディズニーランドでは?

横トリ、全般的には、好評だったようですね。磯崎さんがやっていたら、
どうなっていたか見てみたい気も
しますが、今回ほどの変化は望め
なかったのではないでしょうか?

投稿: タキタ | 2005年12月25日 (日曜日) 01:16

>タキタさん

コメント、ありがとうございま~す。

現代アート → アトラクション という方向に進む気配が無きにしも非ずですよね。

僕は、今回のトリエンナーレは「成功した」と考えていて、そこには色んな要因があるとは思うんですが、川俣さんの「人柄」というものが大きいと思います。嫌味のないというか、ウラのない人柄が、数ヶ月で、トリエンナーレをなんとか形にしたのだと思います。磯崎氏がどういった方かは、よく知らないのですが、タキタさんが仰るように、今回ほどの変化は望めなかったと思います。

投稿: しばた | 2005年12月25日 (日曜日) 10:52

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